先日、6月2日のNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の番組表の中で、「日本ガンバレW杯」の文字が、隠されたメッセージで埋め込まれていた、という記事をかきました。
ネットの掲示板などでもよく見られる「縦読み」という手法なんですが、なんと、この「縦読み」のルーツは平安時代にあった!ということがわかりました。
平安時代と言えば、今から1200年も前のことです。
このころから、日本人には、言葉を使った遊び心があったようです。
その平安時代がルーツの歌なのですが、伊勢物語に挿入された歌で、古今和歌集にも収録された在原業平の歌です。
唐衣きつつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ
この歌は、在原業平が、三河の国の八橋というところまで旅したときに、川のほとりでカキツバタをみつけた時に詠んだ歌です。
意味は、唐衣を着なれるように、なれ親しんだ妻を都に残して、はるばるとここまでやってきたが、思えば遠くにきたものだ、といったようなものです。
この歌には、直接カキツバタという言葉は一言も入っていませんが、この歌をこのように並び替えてみますと、
各行の先頭文字を右から左に続けて読みますと、「かきつは(ば)た」と詠めます。
この手法を、「折句(おりく)」と称します。
さらに、この歌には、枕詞、序詞、掛詞、縁語という数々の技法が織り込まれています。
これだけでも凄いと思うのですが、極めつけがもう一つあります。
今度は、上の歌の一番下の文字を、左から右に続けて読んでいくと「ふるばしも」と読めます。
これの意味するところは、「古橋」、「藻」で、まさに川のほとりの古橋や、藻を織り込んでいるのです。
いやあ、いつの間にかサッカーから平安時代の和歌の話になってしまいましたが、改めて日本語の奥深さと、古き歌人の才覚に感じ入ってしまいました。
そういえば、日本でのサッカーのルーツとも言える「蹴鞠(けまり)」も、平安貴族たちの遊びでしたね。